GoogleのAI面接ポリシー解説
Googleの技術面接に「コード理解」ラウンドが新設され、Geminiの使用が前提に。Metaなど先行企業の動きと合わせて評価基準と対策を解説する。

要約: Googleの新しいAI面接ポリシーには、ジュニア~ミドルクラスのソフトウェアエンジニア候補者向けに試験導入された「コード理解」ラウンドが含まれる。ここではGeminiの使用が禁止どころか必須になっている。見慣れないコードベースと60分、そしてGoogle自身が用意するモデルのみ——外部ツールは使えない。面接官が評価するのはプロンプトエンジニアリング、出力の検証力、デバッグ力であり、コードを丸暗記できるかではない。Googleが最初ではない点も重要だ。Meta、Canva、Shopify、Ripplingはすでに似た形式を導入している。応募先の企業がまだこの方針を発表していなくても、いずれかのラウンドが近い将来こうした形になると想定しておく価値はある。
この10年間、Googleの技術面接で候補者に伝えられる指示は「外部リソース禁止、AI禁止、何も調べるな」というものだった。ところが2026年5月、Googleは特定のラウンドに限ってこの方針を静かに転換し、長年「使うな」と言い続けてきたツールをどれだけうまく使いこなせるかを採点基準に加え始めた。
Googleのパイロットで実際に求められること
新しい形式は「コード理解ラウンド」と呼ばれ、「AI面接」という見出しが与える印象よりも実際の範囲は限定的だ。確認されている内容は以下の通り。
- 対象範囲: 一部の米国チームに所属するジュニア~ミドルクラスのソフトウェアエンジニア候補者。パイロットはGoogle CloudおよびPlatforms & Devices部門から始まった。
- 形式: 候補者はCoderPad上で、200~500行程度の見慣れないコードベースを渡される。60分以内にそれを読み解き、問題をデバッグし、設計について議論し、改善案を提案する。
- 使用ツール: Geminiのみ。アシスタントはGoogleが用意し、候補者はClaude、GPT-5などに置き換えることはできない。
- 変わらない点: AI支援なしの従来型コーディングラウンドは同じ選考フロー内に依然として存在する。今回のパイロットはラウンドを1つ追加するものであり、既存のものを置き換えるわけではない。
- タイムライン: 2026年5月上旬に発表され、結果が良好であれば下半期を通じて対象を拡大していく方針。
この動きは単独で見るほど唐突ではない。Sundar PichaiはCEOとして2026年4月の投稿で、Google社内で新たに書かれるコードの約75%がすでにAI生成かつエンジニアの承認を経たものだと明らかにした。前年秋時点では約半分だったことを踏まえると、出荷されるコードの4分の3がすでにAIツールを通過している会社が、面接だけを2015年当時のやり方のまま維持する理由はもはや乏しい。
なお、この流れが日本の採用にも波及するかどうかは新卒・転職市場双方の関心事だ。今のところパイロットは米国内の一部チームに限定されているが、外資系企業やそのグローバルな面接フローを受ける候補者にとっては、対岸の火事とは言い切れない変化と捉えておくべきだろう。
Google は最初ではない、4番目だ
リクルーターから「AIラウンド」があると聞いて、それをGoogle特有の珍しい仕組みだと思ってこのページにたどり着いたのなら、もう少し広い文脈を知っておく価値がある。GoogleはAI活用型の技術面接を制度化した、少なくとも4番目の大手雇用主だ。

- Metaは2025年7月から、同じくCoderPadを基盤とした「AI-Enabled Interviews」パイロットを実施しているが、GPT-5、Claude、Gemini、Llama 4から選べる方式を採用しており、単一モデルを義務付けるものではない。2026年を通じてバックエンドやインフラ職にも対象を拡大している。
- CanvaとShopifyは、技術ラウンドでAIツールの使用を前提とする形式にすでに移行しており、AIを使いこなせることを例外ではなく業務の一部として扱っている。
- Ripplingも同様の考え方に基づき、技術面接でのAIツール使用を認めている。
注目すべき違いは、Metaは候補者にモデルを選ばせるが、Googleはそうしないという点だ。これは小さな違いではない。自分で使い慣れたツールを選べることは、実際の日常業務に近い能力を測る。一方、使ったことがないかもしれないツールを一方的に渡されることは、自分で選べない制約下での適応力に近い能力を測る。もしこうしたラウンドに備えているなら、普段のChatGPTの使い方がそのまま通用すると思い込む前に、自分が受けるのがどちらの形式かを確認しておいた方がいい。
面接官が実際に評価しているもの
このラウンドは、AIを付け足しただけの普通のコーディング面接として採点されているわけではない。Googleが示している評価基準は具体的だ。
プロンプトエンジニアリング。 漠然としすぎて役に立たない質問ではなく、実際の問題にGeminiをどう向かわせられるか。「この関数は何をしているか」と聞くよりも、「この関数の戻り値が3回呼び出し先でどう使われているか追い、nullになりうるケースがあるか教えて」という聞き方の方が良いシグナルになる。
出力の検証力。 ここを軽視する候補者が多い。Geminiは時折、もっともらしく聞こえるが微妙に間違った説明を出したり、エッジケースを丸ごと見落としたりする。面接官が見ているのは、モデルの答えをそのまま自分の結論として鵜呑みにしていないか、その誤りに気づけるかどうかだ。
モデルに頼らないデバッグ力。 実際のバグは、実際のコードを追って自分で見つけなければならない。AIは見慣れないファイルをより速く把握する助けにはなるが、バグを見つけた後になぜそれが起きているのかを理解する部分は代替できない。Geminiに説明させるだけで自分からは何も付け加えない候補者こそ、面接官が問題視しがちなタイプだ。
このリストから抜け落ちているものに注目してほしい。単純な暗記、時間制限下でのアルゴリズム再現、ゼロからのデータ構造の実装は含まれていない。このラウンドはLeetCode形式の面接とは根本的に異なる能力を測っており、だからこそ「チートコード付きの同じ面接」だと捉えることが、多くの候補者が陥りやすい誤りなのだ。
公平性をめぐる議論
誰もがこれを純粋な改善だと考えているわけではない。AIコーディング企業Cognitionの人事責任者Emily Cohenは、Business Insiderに率直な見方を語った。日常的に使っているAIツールなしでエンジニアを評価するのは「子どもに電卓なしで算数のテストを受けさせるようなものだ」——彼女の見解では、従来の面接形式はすでに実際の仕事とかけ離れていたという。
これに対する反論は、主にGoogle自身ではなく新方式への批判者から出ているもので、より限定的だ。時間制限のある60分のラウンドで会社側が指定した単一のモデルしか使えない状況は、エンジニアが実際に日々AIを活用する——自分でツールを選び、面接官が決めた時計に縛られない——実態とは異なるものを測っている、という指摘だ。どちらの主張にも一理あり、Googleはどちらがより実態に近いかを示すデータを公開していない。ただ議論の余地がないのは、モデルを操作し、出力を確認し、モデルの間違いをデバッグするというこの能力が、良し悪しの評価は別として、実際に採用企業が採点する対象になっているという事実だ。
AI主導型・AI支援型の面接がプラットフォーム横断でどう採点されているかをより詳しく知りたい場合は、AI面接を突破するためのガイドでHireVue、Mercor、Apriora、Ribbonについても同様に解説している。企業ごとに形は違えど、AIが選考フローの中で「隠すもの」から「正式な役割を持つもの」へと変わっていく同じ流れだ。
実際にどう対策すべきか
プロンプトエンジニアリングについて読むだけではその能力は身につかない。時間的なプレッシャー下で実際に使うことで初めて身につく。そのまま応用できる練習方法をいくつか挙げる。
自分のコードではなく、見慣れないコードベースで練習する。 このラウンドの本質は、事前にそのコードを知らない状態で臨むという点にある。触ったことのない中規模のオープンソースリポジトリを選び、60分の制限時間を設け、すべての行を自分で読むのではなくAIアシスタントを使って把握する練習をしよう。
わざとモデルの間違いを見抜く練習をする。 AIツールにコードベースについてあえて曖昧な質問を投げかけ、どこで微妙に間違えるかを観察する。もっともらしいが不正確な回答に気づけるようになることこそ、Googleが評価すると明言している能力そのものだ。多くの候補者はこれを練習したことがない。なぜなら大半の練習は「AIに正解を出させる」ことに集中しており、「AIが間違えたときに気づく」練習にはなっていないからだ。
時間制限なしのバージョンだけでなく、実際のプレッシャー下での練習もしておく。 AceRoundの模擬面接モードはまさにこのために作られている。実際に発言に応じて追加質問をしてくる適応型AI面接官が、本物の制限時間つきで対応するので、モデルとタイマーと面接官の注意を同時に捌く経験を、本番で初めて味わうことにならずに済む。
自分が実際にどのモデルを使うことになるか把握しておく。 リクルーターに確認できるなら、自分のラウンドがGemini限定(Google方式)なのか、複数モデルから選べる方式(Meta方式)なのかを事前に聞いておき、その特定のツールで対策しよう。GPT-5を前提に組み立てたワークフローは、プレッシャー下で一度も使ったことのないGeminiのインターフェースにそのまま通用するわけではない。
こうしたシステムが何を見抜けて何を見抜けないのかという、より広いテーマについては、AI面接における不正検知の仕組みで、企業の意向に反してツールを使うという別の、より古くからある論点を扱っている。応募先企業がGoogleのような方針をまだ公表していない場合、線引きがどこにあるか分からないときに読む価値がある。
よくある質問
Googleは面接でAIの使用を認めているのか?
特定のパイロットに限り認めている。2026年5月以降、Googleは一部の米国チーム(Google Cloud、プラットフォーム&デバイス部門から開始)でジュニアミドルクラスのソフトウェアエンジニア候補者向けに「コード理解」ラウンドを試験導入している。候補者はCoderPad上で見慣れない200500行のコードベースを渡され、Googleが用意するGeminiを使って読解・デバッグ・議論を行う。外部ツールを禁じる従来のコーディングラウンドも同じ選考フロー内で並行して実施される。
Googleの面接でChatGPTや自分のAIツールを使えるのか、それともGeminiのみか? AI利用が許可されているパイロットラウンドでは、使えるのはGeminiのみ。モデルとCoderPad環境はGoogle側が用意し、候補者がClaudeやChatGPTなど他のアシスタントを持ち込むことはできない。別枠で評価される従来型のコーディング面接では、依然としてどのAIツールも一切使用できない。
これを実施しているのはGoogleだけなのか? いいえ。Metaは2025年7月からCoderPadを使った「AI-Enabled Interviews」パイロットを実施しており、GPT-5、Claude、Gemini、Llama 4から選べる方式を採用、2026年を通じてバックエンドやインフラ職にも対象を拡大している。Canva、Shopify、Rippling も、技術ラウンドでAIツールの使用を前提・必須とする面接形式にすでに移行済みだ。Googleはこれを制度化した4番目の大手テック企業であり、最初ではない。
コード理解ラウンドでGoogleが実際に評価しているのは何か? 3点。プロンプトエンジニアリング(Geminiをどう誘導してコードベースを調査させるか)、出力の検証力(Geminiの回答が誤っていたり不完全だったりする箇所を見抜けるか)、そしてデバッグ力(モデル任せにせず、見慣れないコードのバグを自力で追えるか)。記憶からどれだけコードを書けるかは評価対象になっていない。
就職面接でAI使用を必須にするのは公平か? 議論が分かれている。AIコーディング企業Cognitionの人事責任者Emily CohenはBusiness Insiderに対し、普段使っているAIツールなしでエンジニアを評価するのは「子どもに電卓なしで算数のテストを受けさせるようなものだ」と述べ、実際の仕事の実態にもはや合っていないと指摘した。一方で、時間制限のあるラウンドで会社側が指定した単一モデルしか使えない状況は、日常的なAI活用の実態より狭い範囲しか測っていないという反論もある。どちらの立場も決着はついていないが、この能力を実際に採用企業が評価し始めているという現実だけは動かない。
この形式はGoogleやMeta以外にも広がるのか? 両社とも全社展開ではなくまだパイロット段階であり、Google自身も現在の結果次第で拡大するとしている。ただし、12か月のうちに大手4社が同じ方向に動いたのは偶然ではなくパターンだ。具体的な形式は各社で異なるとしても、今後1年でAI活用ラウンドを技術面接に組み込む企業がさらに増えると見るのは妥当な予測だろう。
著者・Alex Chen。キャリアコンサルタント、元テック業界リクルーター。採用側で5年間経験を積んだ後、候補者を支援する側に転向。教科書的なアドバイスではなく、実際の面接の力学について執筆している。
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