Track TestのアクションログでAI利用はバレるのか
ギブリーのコーディングテスト「Track Test」が搭載したアクションログ機能は何を記録しているのか。ChatGPT検出の仕組みと、AI併用の現実的な限界を整理する。

まとめ:Track Testの「アクションログ」機能が記録しているのは、画面に何が映っているかではなく、タブ・フォーカスの切り替えとコピー&ペーストという操作そのものだ。画面に映らない設計のツールを使っても、これらのイベント自体は別に記録され得る。ChatGPTを別タブで開いて答えを貼り付ける、という一連の動作が検知の的になっている。
「Track Testで途中からタブを切り替えてChatGPTを見ていたのがバレそうで怖い」——就活・転職の掲示板やSNSでは、この手の書き込みが定期的に流れてくる。ギブリー社のTrack Testは、SIerやWeb系企業のエンジニア採用で広く使われているコーディングテストで、2023年にAI利用の検出を意識した機能を実際に追加している。
この記事では、その「アクションログ」機能が公式にどう説明されているか、何が記録されて何が記録されないのか、そしてAceRound AIのOA Copilotがこの形式の試験にどこまで噛み合うのかを、順に整理する。
Track Testとは何か
Track Testは、株式会社ギブリーが提供するオンラインのコーディングテストだ。同社が運営する「Track(トラック)」というDX人材の採用・育成・評価プラットフォームの中核機能の一つで、主にエンジニア職の新卒・中途採用の選考フローで使われている。
出題形式は多言語対応のコーディング問題が中心で、企業ごとに問題セットや制限時間を設定できる仕組みになっている。自動運転領域で生成AIを手がけるTuring株式会社が2024年にエンジニア採用試験へ導入したことを公式に発表するなど、AI・DX領域の企業でも採用実績がある。
アクションログ機能はなぜ追加されたのか
ギブリーは2023年3月、社内に「ChatGPT対策チーム」を組成し、ChatGPTがTrack Testの問題に対してどの程度の正答率を出すかを検証した。その結果を踏まえて同年7月3日、「AI時代でも安心して使えるコーディングテストツール」を掲げ、アクションログ機能を正式に追加している。
公式リリースが説明する記録内容は次の2点だ。
- タブ・フォーカスの切り替え履歴:受検中に別のタブやウィンドウ、別のアプリへ切り替えた操作が記録される
- ソースコードのコピー&ペースト操作:解答欄への貼り付け行為が記録される
採用担当者はこのログを見て、不審な挙動があれば選考後の面接で候補者に直接確認し、本来の実力を正確に見極める材料として使う。ログに何か記録された時点で自動的に不合格になる仕組みではなく、「見た上で人が判断する」という運用に近い。
何が記録されて、何が記録されないのか
ここが最も誤解されやすい部分だ。アクションログが観察しているのは画面に何が映っているかではなく、タブ切り替えやペーストという操作イベントそのものになる。

つまり、画面共有・録画・スクリーンショットに映らない設計のオーバーレイ型ツールを使ったとしても、それ自体はアクションログの記録対象を回避する仕組みにはならない。「別タブでChatGPTを開いて回答をコピーし、解答欄に貼り付ける」という一連の操作は、画面上でどう見えるかに関係なく、フォーカス切り替えとペーストという2つのイベントとして記録され得る。
逆に言えば、同一画面内で完結し、別タブを一切開かず、貼り付けではなく自分の手でタイプするという使い方であれば、この2種類のログは発生しにくい。ここは「バレるかどうか」を運任せにするのではなく、操作の設計そのものから考えるべき論点だ。
AceRound AI OA Copilotがこの形式にどう噛み合うか
AceRound AIのOA Copilotは、画面上のコーディング問題をキャプチャして、同じ画面内のオーバーレイに解答をストリーミング表示する設計になっている。別タブでAIチャットを開く必要がない分、Track Testが記録するようなフォーカス切り替えのログは発生しにくい。
ただし正直に書いておくべき限界がある。オーバーレイに表示された解答を見ながら自分の手でタイピングする分にはペーストイベントは発生しないが、これは長いコードほど時間がかかるという意味でもある。Track Testは企業ごとに制限時間が設定されており、タイピング自体に時間を取られすぎると、結局は解ききれずに終わるリスクが残る。オーバーレイは「考える時間」を作る道具であって、「入力する時間」まで消してくれるわけではない。
使う前に知っておくべき制約
- アクションログが有効かどうかは受検者には分からない。 企業ごとの設定次第で、公開されていない以上、常に記録されている前提で行動するのが安全だ。
- 貼り付けは検知対象、タイピングは検知対象外。 ただし自分でタイプする分、解答スピードそのものは自分の実力に左右される。
- ログに残っても即不合格ではないが、無風でもない。 面接で聞かれたときに説明できない挙動を残さないのが一番の対策になる。
- コーディング力そのものの底上げが一番確実。 ログの有無にかかわらず、AI併用は時間を稼ぐための補助であって、実力を代替するものではない。
まとめ
Track Testのアクションログが見ているのは画面の見た目ではなく、タブ切り替えとコピー&ペーストという操作そのものだ。画面に映らない設計のツールを使うにしても、この2種類のイベントを発生させない使い方をして初めて意味を持つ。
適性検査・Webテスト全般の受検方式とAI活用の可否については「SPI・玉手箱のWebテスト、AIツールは使えるのか」でも整理しているので、あわせて確認しておきたい。コーディングテストを通過した後の面接対策は「Web面接カンペの置き方」を参考にしてほしい。
参考リソース:
Author · Alex Chen. Career consultant and former tech recruiter. Spent 5 years on the hiring side before switching to help candidates instead. Writes about real interview dynamics, not textbook advice.
